さつまいもは、種をまくのではなく「種芋」から伸びた芽を切り取り、苗(つる苗)として植え付けるのが基本です。
店で買った食用のいもでも芽は出ますが、病気を持ち込むリスクを減らし、品種どおりに育てるためには、園芸店などで販売される種芋を使うと安心です。
ここでは、家庭菜園で取り組みやすい方法で、種芋の芽出しから苗の採取、畑への植え付けまでを順番に解説します。
さつまいもの種芋を用意する時期と選び方
さつまいもの種芋は、植え付けの約1〜2か月前から芽出しを始めます。
苗を畑に植える適期は、遅霜の心配がなくなり、地温が十分に上がる4月下旬〜6月上旬が目安です。
そのため、種芋の芽出しは温暖地では2月下旬〜3月、寒冷地では3月下旬〜4月頃に始めます。
ただし、地域の気温やその年の天候によって調整してください。
芽出しには20〜30℃程度の温度が必要です。
気温が低い時期に屋外へ置くと芽が出にくく、種芋が傷むことがあります。
室内の日当たりのよい窓辺、加温できる簡易温室、ビニールトンネル内など、夜間も10℃以上を保ちやすい場所を選びます。
用意するもの
- 病気や傷のないさつまいもの種芋
- 深さ15cm以上のプランター、発泡スチロール箱、または育苗箱
- 野菜用培養土または清潔な土
- 鉢底石(プランターを使う場合)
- 霧吹きまたはじょうろ
- 透明なビニール袋や育苗用カバー(保温用)
種芋は、表面に黒い斑点、深い傷、腐った部分がないものを選びます。
大きすぎるいもは切って使うこともできますが、切り口から腐りやすくなるため、家庭菜園では100〜300g程度の丸ごとの種芋が扱いやすいでしょう。
1個の種芋から採れる苗の本数は大きさや管理条件によって変わりますが、目安は10〜20本程度です。
種芋から芽を出す手順と失敗を防ぐコツ
家庭では、土に伏せ込む方法が温度と水分を管理しやすく、苗も丈夫に育ちます。
水耕栽培でも芽は出ますが、根が水に浸かり続けると腐敗しやすいため、初めての場合は土を使う方法が失敗しにくいです。
土に伏せ込む手順
まず、プランターの底に鉢底石を2〜3cm入れ、その上に湿らせた培養土を7〜10cmほど入れます。
種芋を横向きに置き、上部が少し見える程度に土を5cm前後かぶせてください。
芽は種芋の両端だけでなく全体から出るため、縦向きより横向きのほうが複数の芽を育てやすくなります。
植え付け後は、土全体が湿る程度に水を与えます。
ただし、受け皿に水をためたままにすると種芋が腐る原因になります。
以後は土の表面が乾いてから水を与え、常にびしょびしょの状態にはしないことが重要です。
置き場所は日中20〜30℃を保てる明るい場所が適します。
気温が低い場合は、プランター全体を透明な袋で覆って保温します。
このとき、晴天の日に密閉すると内部が高温になりすぎるため、袋の口を少し開けて換気してください。
順調なら2〜4週間ほどで芽が動き始め、さらに育てるとつるが伸びます。
芽出しでよくある失敗
- 気温が低く、1か月以上たっても芽が出ない:夜間の冷え込みを避け、保温する
- 種芋が柔らかくなった、異臭がする:水の与えすぎや排水不良が原因。
腐った種芋は処分する
- 芽が細く黄色い:日照不足の可能性があるため、明るい場所へ移す
- 芽が短いうちに切ってしまう:苗として使うには長さ20〜30cmまで伸ばす
つる苗の採り方と畑への植え付け方法
芽が20〜30cmに伸び、葉が6〜8枚程度ついたら苗を採取できます。
種芋の付け根から、清潔なハサミまたは手で切り取ります。
根が付いていなくても問題ありません。
さつまいものつる苗は、植え付け後に節から発根します。
切り取った苗は、すぐ植えない場合、切り口側を半日〜1日ほど水に浸けておくとしおれにくくなります。
ただし、何日も水に入れたままにすると弱りやすいため、採取したらできるだけ早く植え付けましょう。
種芋に残った芽は再び伸びるため、同じ種芋から複数回苗を採ることもできます。
畑に植える手順
畑は植え付けの1〜2週間前までに耕し、高さ25〜30cm、幅60〜70cmほどの畝を作ります。
水はけの悪い畑では、高畝にすることが特に大切です。
肥料を多く与えすぎると、つるや葉ばかりが茂っていもが太りにくくなる「つるぼけ」になりやすいため、元肥は控えめにします。
苗は株間30〜40cmで植えます。
畝の上に斜めに穴をあけ、苗の先端にある2〜3枚の葉を地上へ出し、それ以外の節が土に入るように植え付けます。
苗を寝かせ気味にする「船底植え」は、複数の節から根が出やすく、家庭菜園でも行いやすい方法です。
植え付け直後はたっぷり水を与え、その後も根付くまでの約1週間は、土が乾きすぎないよう確認します。
植え付けは曇りの日か、日差しが弱くなる夕方に行うと苗がしおれにくくなります。
植え付け直後に葉がしおれても、数日後に新しい葉が伸びれば活着している目安です。
まとめ
さつまいもの種芋から苗を作るには、植え付けの1〜2か月前に芽出しを始め、20〜30℃の温度と過湿を避けた管理を続けることがポイントです。
芽が20〜30cmに育ったらつる苗として切り取り、暖かくなった畑へ植え付けます。
種芋を横向きに伏せ、水を与えすぎず、苗を採る時期を急がないことで、家庭でも植え付け用の苗を育てられます。



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